長期インターンを辞めたいけど辞めてよいのか、そもそも辞めるまでの手順がわからないといった人は多いです。
結論から言うと、長期インターンは条件が合えばすぐその日に辞めることが可能です。
そこで、この記事では長期インターンを即日に退職する方法と2週間で円満に退職する方法に分けて解説していきます。
また、円満な退社方法や法的な問題、退職メールの例文や絶対にNGな退職方法についても解説しているため参考にしてみてください。
- 長期インターンを辞めても問題ない3つの根拠
- 退職ロードマップ「明日」or「2週間」モデル
- インターンの理由別退職メールの例文
- 長期インターンをやめたあとにすべきこと
- 損害賠償もあり得る絶対にNGな長期インターンの辞め方
長期インターンは条件付きでいつ辞めても大丈夫!
長期インターンは、すぐ辞めても基本的には問題ありません。
ただし、インターンのバックレや条件に合わない退職手段を選ぶと、場合によっては損害賠償や給料未払いなどの問題も発生する可能性があります。
この見出しでは、すぐに辞めても問題ない3つの根拠を法律面や実例、自分のキャリアの3つの視点から解説していきます。
法律的には14日前に伝えていなくても即日退職OK
民法627条によれば契約書に期間の定めがない場合、退職の意思表示から14日経過すれば自動的に退職が成立します。
民法628条の「やむを得ない事由」(パワハラ・違法長時間労働・健康悪化など)があれば、即日でも契約を解除できます。
- 会社と合意退職にする
- 医師診断書が出るレベルの心身の不調
- パワハラ・セクハラ・暴力の証拠
- 賃金未払い、違法な長時間労働など会社側の法違反
- 家族の急病・介護、急な転居・災害など避けられない家庭事情
- 採用時に聞いていた労働条件が虚偽だった場合
- 退職届と残有給14日分を提出し、翌日からすべて有給取得
期間付きインターンでも開始から1年以上経過した場合や、違法・ハラスメントがある場合は途中退職が認められます。
退職届はメール+書面で証拠を残し、万一退職時期が試験期間や卒論スケジュール拒否された場合は労基署や大学のキャリアセンターへ相談すると安全です。
在籍1か月でもOKだった実例
以下に在籍1ヶ月でも、インターンの退職が大丈夫だった実例を記載しています。
入社後4日しか出勤せず約1か月で辞職。
取引先との契約が飛んだとして会社が1000万円の損害を主張し提訴
→東京地裁は賠償を70万円に大幅減額し、労働者の退職自由を優先。
出典:https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/hanrei/taisyoku/jisyoku.html
長期有給インターンに参加し、わずか2日で「ブラックすぎて無理」と判断し退職。
本来支払われるはずの時給換算約12,000円が振り込まれず、2か月以上経っても給与が未払いのままでした。退職自体には法的な問題はなく、未払い分の請求は正当な権利として認められる状況です。
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11270526256
ベンチャー企業で営業の長期有給インターンに参加。朝から夜7時まで働き、出張もあり、さらに完全出来高制で、成果が出なければ報酬はゼロ。
勤務から1か月経った頃には、精神的にも疲弊して「続けていく自信がない」と感じるように。周囲に相談し退職を決断。
企業側とのトラブルには発展せず、本人がミスマッチに気づいた時点で早めに手を引くという、前向きな離脱の形になりました。
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13285025148
このように、早期退職は決して違法行為でも問題のある行為でもなく、インターン生のれっきとした権利です。
職歴にカウントされないためキャリアに傷つかない
長期インターンは正社員とは異なり、基本的に職歴には含まれません。
そのため、就活の際の履歴書や職務経歴書に無理に書く必要はなく、省略しても問題ありません。
特に短期間での退職であれば、採用側に説明する義務もないとされています。
以上のようにあくまで「学生時代の活動」として扱えるため、キャリアへの影響は限定的です。
退職ロードマップ「明日」or「2週間」モデル
長期インターンを退職するためのロードマップを、退職までの期間別に2つのモデルで紹介します。
明日から辞める:即日退職フロー
即日で辞める場合、退職届や場合によっては私物の回収、各種手続きなどで一度は会社に行かなければならない場合が多いです。
しかし、トラブルがあり出社したくない場合は代行サービス等で会社に出向かないことも可能です。
- 電話で退職意思を伝える
- 退職届を提出する
- 貸与物を返却・私物を回収
- 書類発行&精算を完了
2週間で辞める:王道の円満退職フロー
2週間で退職する場合、十分に引継ぎ、コミュニケーションをとることができるため、円満退社できる場合がほとんどです。
Day 1 ─ 上司に退職意思を口頭で伝達(希望日・引継ぎ概要を共有)
Day 2 ─ 退職届を提出(民法627条“14日ルール”を明記)
Day 3‑7 ─ 業務マニュアル・顧客リストなど引継ぎ資料を作成
Day 8 ─ 社内外ステークホルダーへ退職予定の挨拶メール送信
Day 9‑12 ─ 後任者へ備品・アカウントの整理と返却準備
Day 13 ─ 総務で社会保険・離職票など労務手続き最終確認
Day 14 ─ 最終出勤日:全体挨拶→備品返却→デスク整理→退社
辞める前に済ませる4つの準備
長期インターンを辞める前に、必ず行ったほうが良い準備や確認事項を解説していきます。
契約書の確認(期間条項/罰則の有無)
退職の前に、まず労働契約書や覚書を読み直し、勤務期間の定めや途中解約時のペナルティが記載されていないか確認しましょう。
契約書の「14日前予告」などの条項は民法627条が優先されるため、14日経てば基本的に退職でき、会社側が退職を認めなければ違法な場合もあるので、就業規則と照合しておくと安心です。
契約書に違約金や損害賠償の項目があっても、それが実際に認められるケースは限定的ですので、疑問があれば大学のキャリアセンターや労基署に相談すると良いです。
引き継ぎタスクをリストアップ
円満退職に欠かせないのが業務の棚卸し(引継ぎ)です。
必要な情報を箇条書きにし、後任者が迷わない形でまとめましょう。
- 担当プロジェクト
- 取引先連絡先
- 使用ツールのログイン情報
タスクごとに「期限・優先度・進捗」を一言添えておくと、引き継ぎ面談がスムーズに進みます。
学業・内定への影響を最小化するコツ
退職時期と試験期間、卒論スケジュールが重ならないよう逆算し、学業優先で日程を調整します。
内定先へは「学生生活で得た学びを深めるためにインターンを終了する」と前向きに伝えるとマイナス評価を避けやすいです。
SNSでの退職報告は控え、公式な書類・面談でのみ理由を共有することで誤解を防げます。
親・大学へ報告するか?判断基準
学費援助を受けている場合や単位認定インターンの場合は、早めに親・指導教員へ相談するのが基本です。
私費かつ単位外の活動であれば必須ではありませんが、心配を減らすため「退職理由と次の計画」を簡潔に共有すると安心感を与えられます。
大学へは履修や奨学金に影響がないか確認し、必要な手続きがあれば期日までに済ませましょう。
インターンを退職する理由別の例文集
インターンを退職する際の例文を、理由別に作成しました。
学業との両立が難しい場合
学業との両立が難しい場合は、その旨を正直に伝えるとネガティブになりにくい伝え方が可能です。
「継続したかったが、時間的に両立が困難になった」といった前向きな表現が有効です。
例文
このたびは、学業との両立が難しくなってきたため、誠に勝手ながら本インターンを退職させていただきたくご連絡しました。
これまでのご指導に感謝するとともに、今後の貴社のご発展を心よりお祈り申し上げます。
就活で継続が難しい場合
就活で継続が難しい場合は、素直に「就職活動に本格的に取り組む必要がある」と伝えると理解されやすくなります。
責任感を持って迷った末の決断であることを示しましょう。
例文
お世話になっております。
現在、就職活動に本格的に取り組んでおり、スケジュール調整が困難になってきたため、インターンを退職させていただければと考えております。
ご迷惑をおかけし誠に申し訳ありませんが、何卒ご理解いただけますと幸いです。
思っていた業務内容と異なる場合
思っていた業務と異なる場合は直接的に「期待はずれだった」と伝えると角が立つため、価値観やスキルとのミスマッチとして丁寧に表現しましょう。
「学びがあったが、自分の目指す方向と異なる」といったニュアンスが望ましいです。
例文
実務を通じて多くの学びがありましたが、自分の志向や関心とのズレを感じるようになり、今後のキャリアとの整合性を考えて、インターンを退職させていただく決断をいたしました。
短い間ではありましたが、ご指導いただき本当にありがとうございました。
絶対にNGな長期インターンの辞め方
即日で退職可能といえど、長期インターンの退職には絶対にNGな方法がいくつかあります。
無断欠勤でフェードアウトする
一切の連絡を断ち、自然消滅を試みる辞め方は企業に最悪の印象を残します。
業務の引き継ぎができず、周囲に多大な迷惑をかけるために企業側に「非常識な学生」として記憶され、紹介や推薦の道も閉ざされるリスクがあるためです。
緊急時でも、最低限Slackやメールで意志を伝える努力が必要です。
虚偽の理由をでっち上げる
「家庭の都合」「体調不良」など事実と異なる理由で退職するのは危険です。
一時的な場しのぎに過ぎず、後からバレた際の信頼失墜は大きく、評価が著しく下がる恐れがあるからです。
本音を伝えるのが難しい場合も、誠実さを優先すべきです。
SNSで感情的に会社を批判する
インターン先の不満をSNSで発散するのは極めてリスクが高い行為です。
会社名を伏せていても、関係者や同業者に簡単に特定されることがあり、就活時にバレれば大損です。
モヤモヤは外に出すのではなく、信頼できる人に相談したりノートに整理したりしましょう。
機密ファイルや社用アカウント、貸与物を持ち出す
退職時の持ち出し行為は、悪意がなくても大きな問題になり、特に業務データや社内ツールのアカウントは、漏洩リスクが非常に高いです。
「自分で作った資料だから」と私物化するのもルール違反となります。
退出時は、物品・データともにすべて返却・削除を徹底しましょう。
長期インターンをやめたあとにすべきこと
長期インターンをやめたあとに、すべきことややっておく良いことをまとめました。
資格取得をめざしスキルアップする
退職後は時間に余裕ができるため、自分の強みを伸ばす資格取得にチャレンジするのもいいでしょう。
たとえば、以下の表にまとまっている資格等の自分が目指す業界・職種に合ったものを選ぶのがコツです。
- 「Google アナリティクス個人認定資格」(Webマーケティングの知識を深めることができる)
- 「基本情報技術者試験」(プログラミングスキルを証明することができる)
- 「TOEIC」(英語力を示す)
オンライン講座やテキスト学習を活用し、週ごとに目標を設定してコツコツ進めていくのが成功のポイントです。
メンタルと体調を整えて自己リセット
長期インターンの経験は貴重ですが、心身の疲れも貯まる傾向にあるため、まずは十分な休息を取り、睡眠時間や食事のリズムを整えましょう。
軽い運動やストレッチ、散歩などで適度に体を動かすことでストレスを解消できます。
また、家族や友人と会話をする、カフェで読書をするなど、自分に合ったリラックス方法を取り入れて心のリセットを図ってください。
次のインターンやバイトを探して実務経験を拡充する
新たな経験を積むことで、自分のキャリアビジョンがさらに明確になります。
長期インターンサイトはもちろん、短期インターンやアルバイトも視野に入れて複数の求人サイトに登録しましょう。
前回のインターンで得た学びをアピールしつつ、応募書類や面接の準備をしっかり行うことで、より良い条件の案件に出会いやすくなります。
また、以下の記事で長期インターンを探すのにおすすめの方法を紹介しています。次のインターンは自分のためになったり、良い会社に出会えたりするかもしれません。

長期インターンの退職についてよくある質問
長期インターンの退職についてよくある質問に回答しています。
長期インターン 何ヶ月で辞める?
平均では3ヶ月〜半年で辞める学生が多いとされています。
1〜2ヶ月以内の早期退職も実際には珍しくなく、問題視されることは少ないです。
辞めるときは「どれくらい続けたか」より「どう辞めたか」が評価に影響しやすい点に注意し、誠実な対応を心がけましょう。
インターンは1日で辞めていい?
初日に違和感を覚えた場合でも、退職は法的に可能です(民法627条による)。
労働条件や仕事内容に著しい相違がある場合、「即日退職」も認められます。
ただし、挨拶や理由の共有がないと不誠実な印象が残る可能性があるので最低限、連絡と簡単な事情説明は行うのがマナーです。
長期インターンは「合わない」という理由で辞められる?
自分に合わない環境に長くいる方が時間のロスにつながるので「合わない」と感じた時点で退職して問題ありません。
伝える際は「自分の適性や目標とズレがあるため」など前向きな言い方がおすすめです。
罪悪感を抱えすぎず、次の挑戦に向けて切り替えましょう。
【まとめ】長期インターンは条件次第で当日でも辞めれる!
長期インターンは、正社員とは異なり、民法627条・628条のルールに基づいて柔軟に退職が可能です。
事前に契約書の内容を確認し、誠実な引き継ぎや周囲への連絡を行えば、1日での即日退職でも法的に問題はありません。
また、インターンは職歴に含まれないため、キャリアへの大きな傷にはならず、心理的に無理して続ける必要もありません。
大切なのは「自分にとって納得できる選択」であり、辞める判断もキャリア形成の一部です。
適切なフローを踏めば、円満な退職は十分に可能なので、迷ったときは、この記事を参考に一歩踏み出してみてください。